AWS Skill Builder 入門 -AWS 学習に役立つオンライン学習センターについてまとめてみた-
こんにちは、大前です。
みなさま、AWS Skill Builder というものをご存知でしょうか?
AWS Skill Builder(以下 Skill Builder)は AWS が提供するオンライン学習センターで、提供される様々な学習コンテンツを自由に利用し、AWS のスキルを磨くことができるサービスです。
デジタルコースだけでも 600以上の学習コンテンツが提供されており、これに加え、手順に沿って実際の AWS 環境を触ることができるハンズオン型の学習コンテンツやゲーム形式のコンテンツ、認定試験対策コンテンツなど、多様な学習を実現できる様々なコンテンツが提供されています。
このブログでは、AWS Skill Builder をこれから利用していく方向けに、役立つ情報をまとめていきますので、ぜひご活用ください。
Skill Builder を使い始める
アカウント作成・ログイン
AWS Skill Builder は複数のログイン方法を提供していますが、代表的な方法は AWS Buidler ID アカウントを利用したログインです。
AWS Builder ID の作成、ログイン方法については以下ブログを参照ください。
料金
AWS Skill Builder は基本的に無料で利用することができ、無料の範囲であれば特に利用期間の制限もありません。無料の範囲だけでも 600以上の学習コンテンツを自由に利用できることができるため、とりあえずアカウントを作成しておくのがオススメです。
一方で、サブスクリプションと呼ばれるライセンスを購入することで、よりリッチな学習コンテンツが利用できるようになります。
細かいコンテンツの説明は後述しますが、有償サブスクリプションにも 個人/チーム が存在しており、それぞれ機能差の概要については公式サイトを参照ください。
Skill Builder の提供コンテンツについて
オンデマンドコンテンツ(デジタルコース)
- 料金 : 無料
いわゆるテキストor動画にて提供される学習コンテンツで、Skill Builder における基本的なコンテンツとなります。このコンテンツは全て無料で提供されており、多様なカテゴリに渡る 600 以上のコンテンツを自由に利用できます。
コンテンツによって差異はありますが、以下のような画面で特定のトピックについてテキストや動画の視聴を通して学習を進める事ができます。また、コンテンツによってはちょっとした理解度テストがあったり、学習を深掘りするための公式ドキュメントへの参考リンク等が提供されていることもあります。
認定試験対策コンテンツ
- 料金 : 一部無料
Skill Builder では、AWS 認定試験の公式対策学習コンテンツが提供されています。一部のコンテンツは有償ライセンスが必要ですが、基本的な認定試験対策コンテンツについては無料で利用する事ができます。
2024年4月時点で提供されている主な認定試験対策コンテンツの種類は以下の通りです。
コンテンツ | 概要 | 料金 |
---|---|---|
Exam Readiness / Exam Prep | 対応する認定試験に必要な基礎知識をオンデマンドコンテンツを通して学習 | 無料 |
Enhanced Course | Exam Prep よりもリッチなコンテンツを利用 | 有償ライセンスが必要 |
Official Practice Question Set | 20問の練習問題を利用可能 | 無料 |
Official Practice Exam / Official Pretest | 本番相当の問題数でデモ試験が利用可能 | 有償ライセンスが必要 |
現時点での認定試験ごとの対応コンテンツは以下の通りです。※Skill Builder のコンテンツは随時更新されるため、現時点での参考程度にご利用ください。
また、コンテンツによっては英語版のみが提供されているものもありますので、ご注意ください。
試験名 | Exam Readiness / Exam Prep | Enhanced Course | Official Practice Question Set | Official Practice Exam / Official Pretest |
---|---|---|---|---|
AWS Certified Cloud Practitioner | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified Solutions Architect – Associate | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified Developer – Associate | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified SysOps Administrator – Associate | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified Data Engineer - Associate | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified Solutions Architect – Professional | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified DevOps Engineer - Professional | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWS Certified Security – Specialty | ○ | ○ | ○ | x |
AWS Certified Advanced Networking – Specialty | ○ | ○ | ○ | x |
AWS Certified Machine Learning – Specialty | ○ | ○ | x | x |
AWS Builder Labs(セルフペースラボ)
- 料金 : 有償
AWS Builder Labs は Skill Builder が提供するハンズオン型の学習コンテンツです。AWS Builder Labs だけでも 200 近くのコンテンツが提供されており(日本語対応しているものだけでも 170 以上)、オンデマンドコンテンツと合わせて活用することで、知識の定着を図ったり実際の使い方のイメージを持つことができます。
AWS Builder Labs の学習画面は以下のようになっており、示される手順に従って AWS 環境を操作する形で学習を進めます。
また、ハンズオンを行うための AWS 環境は Skill Builder から一時的な AWS アカウントが払い出されるため、自身で AWS アカウントを用意したり、ハンズオンによる利用費を気にしたりする必要がありません。
有償ライセンスが必要な学習コンテンツの 1つではありますが、定額で AWS アカウントの管理や利用費を気にせず AWS を実際に触りながら学習を進められる魅力的なコンテンツの 1つです。
AWS Cloud Quest
- 料金 : 一部無料
AWS Cloud Quest は Skill Builder 上で提供されるゲーム形式の学習コンテンツです。仮想都市を舞台に、AWS に関する様々なクエストをクリアしていくことで、街を発展させながら AWS の知識も身につける事ができます。
ゲーム形式ではありますが学習コンテンツとしてもよくできていて、各クエストは基本的に「知識を学ぶ → 知識の確認をする → 実際に AWS 環境を操作して課題を解く」、といった流れで進んでいくため、単に知識を問うだけでなく、実際の AWS 環境の操作も交えた学習が組み込まれています。
AWS Cloud Quest の細かい内容については、以下ブログを参照ください。
執筆時点で提供されている AWS Cloud Quest の主な種類は以下の通りです。まだ日本語対応されていないものも多いですが、最近のアップデートで徐々に日本語対応コンテンツが増えていますので、今後に期待です。
コース名 | 概要 | 料金 | 日本語対応 |
---|---|---|---|
AWS Cloud Quest: Cloud Practitioner | AWS の基本的なサービスや概念を学ぶ | 無料 | ○ |
AWS Cloud Quest: Solution Architect | AWS を利用した安全で可用性の高いソリューション構築について学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Cloud Quest: Serverless Developer | サーバレスアプリケーションの構築について学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Cloud Quest: Security | AWS を利用したインシデント対応や脆弱性の検出、データ損失の防止について学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Cloud Quest: Networking | AWS を利用したネットワークの設計やセキュリティについて学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Cloud Quest: Data Analytics | AWS を利用したデータレイク、データウェアハウス、ビッグデータ分析について学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Cloud Quest: Machine Learning | AI サービスを使用したソリューションの実装について学ぶ | 有償ライセンスが必要 | x |
また、最近のアップデートにて、AWS Cloud Quest を利用して取得済みの AWS Certified Cloud Practitioner が再認定できるようになっていたりします。また対応する試験は 1つだけですが、今後他の認定試験も AWS Cloud Quest 上で更新できるようになるかもしれません。
AWS Industry Quest
- 料金 : 有償
AWS Cloud Quest と同様に、AWS Industry Quest というゲーム形式の学習コンテンツも提供されています。
こちらは特定の業界特化の内容となっていて、それぞれ各業界の仮想組織を導くプレイヤーとしてゲームをプレイし、課題の解決を通しなが特定の業界における AWS の活用方法について学ぶことができます。
現在は以下のコンテンツが提供されています。
コース名 | 概要 | 料金 | 日本語対応 |
---|---|---|---|
AWS Industry Quest: Financial Services | 金融業界向けのソリューションを構築するためのスキルを習得 | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Industry Quest: Healthcare | ヘルスケア業界向けのソリューションを構築するためのスキルを習得 | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Industry Quest: Manufacturing and Automotive | 製造業や自動車業界向けのソリューションを構築するためのスキルを習得 | 有償ライセンスが必要 | x |
AWS Jam Event
- 料金 : 有償
AWS Jam Event はイベント型の学習コンテンツで、決められた時間内に与えられた課題をどこまで解決できるかをチームで競い合うことができます。AWS Summit 等の国内イベントで最近は開催されていることもあるので、参加経験のある方もいるのではないでしょうか。
Skill Builder のチームサブスクリプションを購入することで、特定の組織内でこの AWS Jam Event を自由に開催する事ができるようになります。※個人サブスクリプションでは利用できません
AWS Jam Event では課題と一部の設定が施された AWS アカウントが提供され、課題の解決に向けて AWS 環境を調査したり、設定を変更していくことになります。課題の種類は多岐に渡りますが、どれも実務で発生しそうなトラブルシューティングやよくある設定ミス等が題材になっているものが多く、より実践的な知識・スキルを身につける事ができる学習コンテンツになっています。
また、チームで同じ課題に取り組むことによって、メンバー間でのナレッジの共有やチームビルディングなど、単なる個人学習の域を超えた学習効果も期待できます。
AWS Jam の実際の画面については、以下動画などを参照ください。
AWS Jam Journey
- 料金 : 有償
AWS Jam Journey は AWS Jam Event の個人用学習コンテンツになっていて、イベント形式で開催する AWS Jam Event と異なり、個人が好きなタイミングで AWS Jam の課題に取り組むことができます。こちらは個人サブスクリプション以上のライセンスがあれば利用可能です。
セルフペースデジタルクラスルーム
- 料金 : 有償
AWS では AWS トレーニングと呼ばれるクラスルームトレーニングを提供していますが、一部のコースについては Skill Builder の有償サブスクリプションを購入することで、いつでもオンデマンドでコースを受講する事ができます。
現時点で日本語対応のコースは少ないですが、定額のライセンス費用でいつでもトレーニングが受講できるという点は魅力的です。日本語対応のコース追加アップデートに期待しましょう。
対応コースは以下公式ページを参照ください。
Skill Builder の主な機能
コンテンツの検索・登録
Skill Builder ではユーザーが好きなコンテンツを検索・登録することで、自由にコンテンツを利用することができます。
コンテンツを検索し、利用するまでの流れは AWS 公式がわかりやすい動画を公開しているので、以下を参照ください。
管理者向け機能
Skill Builder のチームサブスクリプションを購入すると、以下の学習管理者向けの機能が提供されます。組織として Skill Builder を導入する際には従業員の学習状況の把握や管理が求められるかと思いますが、Skill Builder 側で提供される管理者向けの機能を活用することができます。
- ユーザーの作成・管理
- ユーザーに対する有償サブスクリプションの割り当て
- ユーザーに対する学習コンテンツの割り当て
- ユーザーの学習状況のモニタリング・レポート作成
- など
以下動画の 09:10 あたりから管理者向け機能が紹介されています。
利用するコンテンツに悩んだら
Skill Builder は大量の学習コンテンツを提供しているため、どのコンテンツから利用していけば良いのかわからなくなってしまうかもしれません。
そんな時には、AWS が提供している 学習プラン や Ramp-up Guide を活用する事がおすすめです。
学習プラン
Skill Builder では、学習プランという特定の分野やサービス等に対応するコンテンツをまとめたラーニングパスを提供してくれています。
コースカタログから タイプ: 学習プラン でフィルターをかけることで学習プランを表示できます。言語でフィルターをかけることもできます。
提供される学習プランは多種多様で、セキュリティや機械学習、データベースといった特定のカテゴリに特化したものから、システム運用者や開発者、クラウド初心者といったロールやスキル別のものまで用意されているため、自分や組織にあった学習プランを選択するだけで、適切な学習コンテンツをすぐに見つけることができます。
学習プランは以下のようにオンデマンドコンテンツのみが含まれるものもあれば、
有償サブスクリプションの購入が必要ではありますが、AWS Builder Labs を交えたラーニングパスを提示している学習プランもあります。
また、最近は Knowledge Badge Readiness Path と呼ばれるタイプの学習プランも増えていて、学習プランにナレッジ確認テストが追加されたようなものが提供されています。
下記は初心者向けの Knowledge Badge Readiness Path の例ですが、通常の学習プランと同様にいくつかのオンデマンドコースが含まれていることに加え、最後に Knowledge Badge Assessment と呼ばれるテストが用意されています。
Knowledge Badge Readiness Path を利用することで、最終的な知識の確認までセットで行える様になるため、より高い学習効果が期待できます。また、Knowledge Badge Readiness Path に合格することで、AWS のデジタルバッジを取得することができるようになっています。
Ramp-Up Guides
AWS では、Ramp-Up Guides というラーニングパスも提供しています。
上記の学習プランはあくまで Skill Builder が提供するコンテンツに閉じたラーニングパスとなっていますが、Ramp-Up Guides はそれよりももっと広い範囲のコンテンツを含んだラーニングパスを AWS が提供してくれるものになっています。
上記公式サイトを参照いただければと思いますが、ロール別やソリューション別、業種別など、様々な視点からラーニングパスが提供されているため、自分や組織にマッチする学習コンテンツや参考情報を見つける事ができるようになっています。
Skill Builder の活用を助ける参考リンク集
DevelopersIO
弊社ブログである DevelopersIO では、AWS Skill Builder についてもブログを発信しています。以下リンクを開くことで、Skill Builder 関連も記事をチェックする事ができますので、是非ご活用ください。
AWS Training and Certification ブログ
AWS 公式の AWS Training and Certification ブログ では、Skill Builder に関する最新情報やアップデート情報が頻繁に発信されているため、新しい学習コンテンツの追加情報などはこちらからチェックする事ができます。また、Skill Builder 活用のヒントとなるようなブログも投稿されていますので、是非ご活用ください。
おわりに
AWS Skill Builder をこれから活用していく方に向け、基本的な情報をまとめてみました。
Skill Builder は基本的に無料で利用できますので、とりあえずアカウントを作成しておくだけでも非常に便利ですし、よりリッチな学習を行いたい場合は、有償サブスクリプションの利用も検討ください。
また、クラスメソッドでは少数からご利用いただける AWS Skill Builder サブスクリプションの再販を行なっていますので、ご興味のある方は以下リンクを参照ください。
AWS Skill Builder サブスクリプション販売 | AWS総合支援 | クラスメソッド株式会社
以上、AWS 事業本部の大前でした。